2.6.18

ベルギーで3度目の葬儀

アントワープの北にあるカペレン(Kapellen)という町の市長を20年間務め、フランダース政府の大臣も2度務め、現在は名誉市長、ベルギー乗馬協会の会長など要職を務めていたジャッキー・ブッシュマン(Jacky Buchmann)氏が5月24日に急逝し、6月1日葬儀が執り行われた(86歳)。

 こう書きだすと、新聞記事のように思われるでしょうが、嫁の親族に当たるお方だったので、僕も連れ添って参列したのでした。

一人の葬儀なのに霊柩車が3台、教会の前には大型のテントが張られ、大画面のパブリック・ビューまで設置され教会内部の様子が映し出されている。

雨にもかかわらず、多くの市民が別れを惜しんで駆けつけていた。

20年に及び市長として貢献し、現在の市長を育てた名誉市長なので、「市民葬」になっていると思う。

教会から墓地までは白バイ2台が先導するパレードのようであった。

嫁の従兄弟の父親に当たる方なので、割と近い親族という事で、教会での席も前から6列目あたりに指定されていた。

生演奏のBGM、孫(弁護士)によるお爺ちゃんとしての人となりの紹介、友人による政治家としての活躍などの紹介もあった。

最後には日本の焼香に当たる最後の別れの挨拶を一人一人、遺影と棺の前まで行き一礼して、教会の十字に触れ、寄付金(お布施)を入れ(2-5€程度)個人の写真入りカードをもらう。

この時は教会の外で待機していた一般市民も、別れの挨拶に入って来た。

午前11時から始まった約2時間の葬儀だった。

ベルギーでは教会の葬儀のあと棺(または骨壺)を墓地に埋葬し、その後にはごく近しいファミリーや友人を別の場所に招いてコーヒータイムを持つ事がよくある。

僕らは墓地へは行かなかったが、コーヒータイムには招待されていたので、そちらの場所へ移動する。

移動した先は「お城」!

故人の奥様は貴族階級で、このお城が実家なのだそうで、墓地からも近いこの場所でコーヒータイムを持つ事になったようだ。

「コーヒータイム」なので食事ではないが、軽食が多く用意されていて、午後1時も過ぎているので量は申し分なく揃えられている。 

 
ビュッフェ形式で好きなものを取り分けてもらうコーナーもある。

 すべて高級な食材が使われている ・・・ 一流のシェフが腕を振るってるのだろう。

葬儀のあととは言え、招待客はみな和やかに会話をする。
上の写真は終盤に撮ったので人が少ないが、初めの頃は歩くのも困難なほど大勢の人で埋め尽くされいた。

日本も同じだけど、葬儀には普段会わない人との再会が多いので、旧交を温める絶好の機会でもある ・・・ 故人に感謝しつつ、この機会を大切にするのは良い事だと思う。 

貴族階級も多くいたので、フランス語の会話も多かった。

まぁ、僕は残念ながら会話には入って行けないが、「あなた方の友人の中には日本人もいますよ」という事がわかっていただければそれでよい。

僕らのテーブル(立食ではあるが、故人の親族と一緒にいた)に、現職の市長さんも回ってきてくれて、故人(Jacky Buchmann)の最後の日の事を話してくれた。

「亡くなる前日、いつもと変わらない彼がいて、一緒に会議をし、いろいろな決め事をしたんだよ、その日、普通に「また今度」と別れて、翌日には亡くなっていたんだ」

翌朝は奥さまが先に起きて、ひとつ用事を済ませて帰ってきても起きていないので、よく様子を見たら息をしていなかったというのだ。

現市長は若い時からジャッキー市長に可愛がられ、鍛えられて今の自分があると感謝していた ・・・ 破天荒なほど決断力があったらしい。

現市長と前市長には様々なエピソードがあり「僕は彼についての本を書きたいくらいだよ」とも言っていた。

残念ながら僕は故人に面識がなかった。

お城の内部、奥の部屋は書斎かと思って覗きに行ったら ・・・ 

お菓子が盛りだくさんの、コーヒー支給の部屋だった(笑)
マカロンをたくさんつまんで食べた!

このお城は、現在はこういう云うイベントのために「貸し出し」をしているらしい。

僕にとって、ベルギーに来て3度目の葬儀だった。
どれも意義のある葬儀で、宗教や習慣の違いはあれど、故人を偲ぶ気持ちと、残された遺族や友人、関係者が絆を新たにするという事は同じである。


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