オレンジが、四方八方から飛んでくるバンシュのカーニバル!
ダンダ、ダンダ、ダンダ、ダダダダダダダダ・・・
ドラムの音と、カタ、カタ、カタと木靴で、石畳を叩く音、
腰や胸に付けた鈴が、オレンジを投げるたびにチャリン、チャリンと響く!
オレンジを投げ終わった子ジルたちは、空になった籠と籠でつながって、輪を描くように歩き始めた。
オレンジはまだ飛び交っている!
丁寧に標的を定めて、優しく投げてくれるジルもいれば、できるだけ遠くへと、力いっぱい投げるものもいる。
「もっと遠くへ!」と言えば、この祭りの・・・というか、バンシュのモットーであるということで、「PLUS OULTRE」と言う大きな看板が掲げられていた。
プルス・ウルトラ(Plus Ultra)、ラテン語で「もっと向こうへ!」と言う意味らしいがスペイン国のモットーでもある。
やはり16世紀に侵略、支配を繰り返し、世界帝国を築いたカール5世の時代からのモットーであり、バンシュでもそれが引き継がれているということだ。
しかし、祭り自体は閉鎖的で、主役のジルになるには「バンシュの地で生まれ育った者」であるという資格が必要なのだ。
これだけ盛大な祭りだが、ジルの衣装や道具などはほとんど、個人の費用負担なのだそうである・・・、多い人は1,000€を超えるとか・・・衣装はもちろん、観衆に投げるオレンジ、祝い用のシャンペンなども含めてだが・・・。
祭りには、親戚や友人たちも訪ねてきて「物資支援」などをしてくれるのだそうだ。
そして(多分)支援をした人たちは、ジルの行進の時、後ろからついて歩いているのではないだろうか(取り巻きが大勢いるのだ)。
ちびジルはかわいい!
かわいい女の子にはサービス!
投げられてもキャッチできそうにない子供には手渡しで・・・。
しかし、僕の隣にいたこの子は、たーーっくさんオレンジゲットしておったぞ!
人によっては、リュックサックのいっぱい詰め込んでいる人もいるんだから「この人、ほんとにオレンジ目当てに来ているんじゃないか!」と思うほど、貪欲にオレンジ集めをしている人もいる。
僕は7個ゲットした時点で、ジャンパーのポケットが一杯になったので、取るのをやめたが・・・。
投げるオレンジがなくなったジルは、籠をひっくり返して持ち「ないよ!」の合図。
西陽の当たる市庁舎の、時計の針は17:55を指している。
オレンジ投げ、争奪戦の熱狂は続く・・・
ジルたちの白いダチョウの羽根帽子が、少しづつ広場から流れるように、脇道の方へと動いていく。
もう、囲いの柵も関係なくジルと観衆が入り乱れ状態になっているが、確実にハイライトは終わりに近づいていた。
この後、夜には19:30から、暗くなった広場にトーチを持ったジルたちが再登場し、ジルダンスを披露し、21:30には花火が打ち上げられるという予定だったが・・・、僕は、帰りの電車に乗らなければならない時間になっていた。
薄暮のバンシュ駅がキレイな色合いだった。
帰りの電車は、祭りを終えた観衆が殺到するので、2階建ての臨時便が待機していた。
帰りの乗り継ぎはブリュッセル南駅。
戦利品のオレンジ・・・、と、ビールグラス?
カフェでもらったグラスを持ち歩いて飲んでいたら、カフェから遠いところに来てしまい、ポケットに入れてそのまま、持ち帰ってしまった・・・、すまない、カフェ!でも、同じカフェで3杯飲んだよ!
こうして、ヨーロッパ最大級のカーニバル会場をあとにした。
ダンダ、ダンダ、ダンダ、ダダダダダダダダ・・・
ドラムの音と、カタ、カタ、カタと木靴で、石畳を叩く音、
腰や胸に付けた鈴が、オレンジを投げるたびにチャリン、チャリンと響く音!
この祭りの雰囲気は、後日、動画でお楽しみいただきたいと思う。
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