僕はまだ、土曜日の事を書かなければならない。
留学生のさきちゃんを、Lier駅で見送ったのは、午後7時過ぎだったが、外はまだまだ明るい。
人通りは少なくなったが、夕陽に輝いているマルクト広場の方へ歩き出した・・・
(夏時間でもお店は午後6時には閉まるから、人もいなくなる)
また僕の 「ぶらり ~ 」の始まりだ!
駅から広場までのショッピングストリートの途中で、忽然と現れる妙なオブジェ。
もちろん何を意味するか僕にはわからない。
もうすぐ広場、
前回も書いた様に工事中の広場。
工事現場というものも「今しかないもの」だから記念写真をとっておこうと、立ち入り禁止のフェンスの隙間から、ケータイノカメラで撮っていると、後ろから声を掛けられた ・・・ 「はろ~!」 と。
「なんじゃらホイ!」と、振り返ると見覚えのあるアジア人の大柄な男が立っている。
「おぉ~、お前じゃないか、元気かい?」(お前じゃないか、というのは、何度か会っているが名前を覚えられないからである)。
彼も僕の名前を覚えきれないでいる。
外国人の名前というのは難しいのだ、今回はちゃんとメモって来た・・・「テンゼン」という名のチベット人である。
彼はいい男である。
「ま、そこのベンチに座って話そうや・・・」
バス停のベンチに座って、名前の確認「僕はYuki、あなたは?」、「私はテンゼン、外国人の名前って難しいよね、アメリカ人の名前なら、映画で見ているからなじみがあるが、そのほかのは難しくて覚えられないよ」
このバス停はいつもはにぎやかだが、今は工事のため別の場所に移ったので、バスを待つ人はいない。
こんな夕日を浴びた市庁舎の前にあるベンチで話をしていた。
彼には子供が5人いる。まだみんな小さい・・・12歳を筆頭に下は2歳の子、生活は大変だと思うが車を持っていた。
彼はチベット人という民族であり、「チベットは中国じゃないよ、中国はチベットに対してひどい事をしている」「我々仏教徒やカトリック教徒は、落ち着いて良く考えて行動するが、イスラムの民族はちょっと考え方が違うから付き合うのは難しい」とか、なかなか哲学的な考えも話す。
彼はアントワープで2年、メッヘレンで2年住んだ後、Lierに来て4年になる。「Lierは静かできれいな街だし、いい人たちが住んでいる」と満足そうだ。
会話はオランダ語でしているつもりだが、分からない所は英語の単語を混ぜたりして、何とかそのような状況は把握しているつもり・・・・。
「日本は今回、地震と津波と原子力発電所の被害がひどかったね、過去には原子力爆弾を2回も落とされて、大きな被害があったんでしょ・・・」なんて事も言っていた・・・。
世界で初めて唯一、原子力爆弾という、大きな被害をもたらす物質を目の前で体験したのに、なぜ日本に原子力発電所があるのか分からない・・・、と言いたげだった)
チベット人テンゼンは思慮深い人だ。
話をしている間、僕は近くの自販機から缶ビールを2本買って飲んだ・・・
彼はビールを飲まない、しかし、たばこは止められないと紙巻きタバコを2本吸った。
黄昏れていく街を眺めながら、僕には落ち着けるひと時だった。
彼が車で去った後、僕は歩いて、ぶらり~に戻る。
ジンメルの塔。
ネーテ川沿いの観光スポットも工事中!
夕陽を浴びる聖グマルス教会。
午後9時の空は、まだ青空。
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