29.10.16

リネン博物館

さて、前回記事にしなかった「リネン博物館」の話。

僕は特に服飾やおしゃれに興味が無いので、関心は薄いのだけど、嫁のKatrienは日本(東京)滞在時に、沖縄の伝統的織物である「芭蕉布」に興味を持ち、それがきっかけで沖縄移住をして、数年で僕と知り合い結婚までしたという事だから、無関心と言ってもいられないよね(笑)

自然の中の植物から採れる繊維で布を織り、それが人間が日常的に身にまとう服になるのだから、考えを巡らす人にとっては「当たり前」では済まされないのである。

僕の実姉は沖縄で、洋裁店を自営しているので、行けば布の話をよく聞かされる ・・・ 「日本の古布(沖縄の布地も含めて)は味があって、今でも十分におしゃれとして通用する」と言って、昔、着物として使われていた古着を探し集めている。

姉は古布をリメイクして洋服を仕立てている ・・・ 沖縄の「かりゆしウェア」を涼しげに古布で仕立てるのが人気であるらしい ・・・ 中には気に入りの古布持参で注文する人もいるとか。

という事で、僕も布地に対して全く関係のない人間という事でもないのである(笑)

前回の記事で少し書いたが、Katrienが母親と16年ほど前に行ったリネン博物館(Vlasmuseum)へ行くことになった。

リネン博物館と言っているが、原語では「ブラスミュージアムVlasmuseum」で、Vlas とは亜麻の事である。

Katrienは、コルトレイク郊外にあるミュージアムを約16年ぶりに訪ねてみたが、どうも様子が変だ ・・・ 学校という事になっているよ!

日曜日だったので、もちろん休みでドアは閉ざされている ・・・ 近くにカフェがあったので、Katrienが聞いてみたら 「あら、ミュージアムは2-3年前に移転したんですよ、今は町の中心部にあるわ」と住所を教えてくれた。

僕が持っているベルギー観光関連の本でも、この古いミュージアムが紹介されているので、つい最近の事なのだろう。

コルトレイクの町の中心部、レイエ川のほとりに近代的な建築でテキスタイルマニアを迎えてくれるのは、名称も変更になった「TEXTURE」 ミュージアム。

名称変更から分かる通り「リネン」や「亜麻」の歴史だけにとどまらず、近代的な素材や作品にまで範囲を広げている。

Vlasmuseum の閉館から2年の準備期間を経て、2014年にオープンした新しいミュージアムだ。

Katrienは、昔のミュージアムは昔の建物で、等身大の人形たちが作業している姿も見られたから良かったんだけど ・・・ と、ちょっと残念そう。

しかし、今は近代的設備で、今まで見られなかったものまで見る事ができる。


 これがリネンの原料となるブラス=Vlas(亜麻)

亜麻の構造

昔の製造工程の器具たち

機織り機

リネンのレース編み(やや荒い)

リネンのレース編み(細かい)


日本で見る機より無骨な感じだね。

年代とともに器具も進化していく ・・・

 リネンの素となる亜麻繊維(意外と柔らかい)

「ik kies VLAS」  ・・・ 「私は亜麻を選ぶ」という、昔の広告

この後、産業革命によって機械化のスピードは早まっていく ・・・ その初期の大型機械も展示されていたが、機械の仕組みに見入っていたせいか、写真を撮っていない。

ま、いいのだけど ・・・ 機械化以前のフランドルの歴史と人々の暮らしぶりがわかれば、ミュージアムとしての役割は果たしている(言い訳か)

中世の頃、レイエ川に沿った西フランダースの各地で亜麻栽培が盛んであり、その頃はかなりの重労働だったが、町は大いに栄えた ・・・ とくに、ここコルトレイクの町で産出されるリネン生地は高品質で縫製技術も優秀だった事で知られていたらしい。

あまりにもリネンで恵まれたので、次に来た羊毛産業には移行せず、そこで止まってしまった ・・・ 今でも、コルトレイクの最盛期は15世紀だったと云われている。

前回の記事で書いた「金拍車の戦い」勝利の地でもあったしね。


突然、ワイングラスの写真になる。

いやね、この「TEXTURE」 ミュージアムは、先程言ったように、複合施設になっていて、レストランもあるし、展示会場もある ・・・ 3階部分ではテキスタイルに関する展示会があったが、地下ではデザイン関係の展示室があり、その呼び水として「無料ワイン試飲券」なるものを、配っていたので、それをもらい地下室へ行ったのだ。

僕はベルギー産の白ワインを頂いた ・・・ フルーティーでなかなか美味かったよ!
ビール天国ベルギーのワインとはこれ如何に ・・・ 地球温暖化により、寒冷地だったベルギーでもブドウ栽培が出来るようになり、ワイン地帯になるかもしれないんですよ皆さん!

喜ばしい事とも言えないような気もするが、温暖地が北上しているという事でしょう。

デザイナーがイラスト制作中!

作品 ・・・ 等身大なので、それに沿って体を預ける事もできそうだ。

 という事で、ほろ酔い加減でミュージアムから出てきた(笑)

このミュージアムは入場無料!

ベルギー観光旅行 ・・・ 観光地を訪ねて美しい景色を見て、うまいビールを飲んで、美味しいスイーツを食べて、フランスより美味しいと云われるフランス料理を堪能して、ワッフル、フリッツ、チョコレートもたらふく食べて ・・・

その後どうする?

という所まで来たら、ベルギーの深部(歴史)を探索する旅もいいと思う ・・・ ベルギーという国がなかった時代のヨーロッパを旅する事ができます。


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