22.8.17

最近嬉しかったこと Tennis

2003年6月に始めてベルギーを訪れた時、その年の全仏テニスで女子シングルスの優勝者がベルギーのジュスティーヌ・エナン、準優勝がキム・クライシュテルスという、ベルギー選手の快挙に沸いている最中だった。

2008年にベルギー移住した後は、僕も地元のテニスクラブに所属して、本格的なクレーコート(赤土)でテニスが出来るようになった事も嬉しい事で、ベルギーのテニスクラブや、テニス大会の雰囲気が素晴らしくて、本当に夢のようだと思ったものである ・・・ それが9年も続いたので、僕は幸せ者だと思っている。

2008年と言えば、2月に錦織圭選手が18歳の若さでアメリカのATP大会初優勝を成し遂げて、日本でも注目され、それ以降、とんとん拍子にランキングを上げていくとともに、日本でのテニス熱も盛り上がってきた。

期待に応える錦織は日本人の歴代記録を次々に塗り替えて来た ・・・ 松岡修造を越えたとか、2015年には世界ランキング4位に浮上して「アジア人男子の最高位」を記録した。

そして2016年のリオ・オリンピックではメダルの期待がかかる重圧の中で、見事に銅メダルを獲得した ・・・ ナダルを破っての銅メダルには相当な価値がある。

しかし、しかしだ ・・・ 錦織がまだ越えられないもの ・・・ それが1920年、アントワープ・オリンピックで銀メダルを獲得した熊谷一弥(くまがい いちや)である(熊谷は男子複でも銀メダルを獲得している)。

それは、オリンピック史上、日本人選手が獲得した初めてのメダルでもあった。


さて、ここからが本題です(前置きが長かったネ)

そのアントワープ・オリンピックのテニス競技が行われた会場へ行ってきたのだ!

その名も 「Tennis 7de Olympiade」
第7回オリンピック・テニスではないか!

97年前の1920年、8月16日から24日まで、この会場で熱戦が繰り広げられ、日本人の熊谷、ダブルスペアの柏尾が大活躍していたことになる ・・・ そして、おそらくは24日に、クラブハウス前のこのセンターコートで熊谷選手の決勝戦が行われたことだろう ・・・ 想像するだけでなんだかワクワクするじゃないか。

クラブハウスの壁に掲げられた1枚のパネル。

大きな写真3枚と短い文章で、ここがオリンピックテニス会場であったことを示している。

女子シングルスの優勝者はスザンヌ・ランラン。

へぇ~、あの有名なスザンヌ・ランランがこのコートで舞っていたのかぁ~(いや、バレエじゃない) 伝説の選手、今でもフランスでは「テニスの女神」と崇められ、世界初のプロテニス選手である。

Suzanne Lenglen は、まさにコートで舞う女神だった!
スゴイじゃないかぁ~

男子シングルスの優勝は南アフリカのルイス・レイモンド。

という事は、熊谷はレイモンドに負けて銀メダルになったという事だね ・・・ 勝っていればここに日本人の熊谷選手の写真が掲示されていたはず ・・・ スザンヌ・ランランと並んで ・・・ 惜しい!

この写真は男子ダブルスの決勝戦!

向こう側の二人が日本の熊谷、柏尾ペアか ・・・ スゴイねぇ、見たかったね。

Wiki によると、熊谷は中学では野球部の主将を務め、陸上中距離でも活躍し、慶応大学に入って(日本独自の)軟式庭球をしていたが、大学が1913年に硬式庭球(世界の標準テニス)に変更したので、日本で初めて慶応大学テニス部が硬式テニスに挑戦したという事になっている。

いくら軟式テニスの下地があったとはいえ、熊谷は左利きで軟式テニスのグリップのまま硬式テニスを続け、メキメキと上達し、日本人テニス選手として初の海外(フィリピン)遠征、1916年には3ヵ月間のアメリカ遠征で、60人とシングルスを戦い、土のコートでは1セットも失わず、芝コートで4人に負けた。

この遠征で熊谷は全米ランキング5位に名前が挙がったというから驚きだ ・・・ 1918年の全米選手権ではベスト4の快挙。

それから、1920年のオリンピック銀メダルである。

考えてみれば、日本で硬式テニスが始まって、7年後にはオリンピックのメダリストが誕生したのだから驚異的な進歩だろう ・・・ さぞや歴史の長い欧米諸国は驚愕したに違いない。

現在のようにテレビや新聞、インターネットが広まっていれば、大フィーバーしただろうに ・・・ 時代が早すぎたねぇ。

帰宅した後に、写真を見ながらそんな事を調べたり空想したりで、楽しい時間を過ごした(笑)

Momoちゃんもこの歴史的テニスクラブに来たよ。

そして、Katrienも ・・・ 実は Katrien の参加するテニス大会がこのクラブで開催されていて、僕も応援に来ていたのだった。(バルーンで覆われた屋内コート)

まぁ、試合の方は相手の方が数枚上手で、アントワープ州の同クラスで1位を狙っている若い子だったので、1-6,2-6の完敗 ・・・ これくらい差があれば、負けてもサバサバして「参加料を払ってレッスンを受けたと思えばいいよね」 との感想だった。

僕から見れば、力強いラリーも結構あったので、内容のある試合だった ・・・ 確かに(緊張感の中での)質の高いレッスンだったと思う。

再びセンターコートの前に出て、試合の反省点を話しながらビールを頂く。

ベルギーのテニスシステムは非常にいいと思っている。

初心者レッスンを終えたばかりのレベルから上級者まで、細かくランク付けをして、同レベルでのトーナメントが、何クラスも同じテニス大会で同時開催され、1週間かけて決勝戦まで行う。

 観戦する方も、自分と同じレベルの試合では「自分ならこうするのになぁ、とか、珍プレーながら凄いな」 と楽しめるし、上級者の試合を見ればもちろん勉強になる ・・・ 「いつかは、あぁなりたい」 と ・・・

試合待機している選手、終わった選手は交流も盛んである ・・・ ビールを飲むだけで観戦する人もいる(僕みたいな)

ベルギーテニスの素晴らしい所は、どんなレベルであれ、大会に出場すると勝敗に応じてポイントが加算、減点されてコンピュータ処理され、クラス別にランキングが発表されるので、選手にとっては非常にやりがいがある(プロの世界ランキング並)。

そして、大会の結果は即座にテニス協会のWEBサイトで公開され、それが何年も保存され検索する事ができる ・・・ なので、大会で初めて対戦する相手の過去の試合結果を閲覧する事も出来るのだ(生年月日も公開されている)。

これまで楽しませてくれたベルギーテニスに感謝!


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